んん?いつの間にか寝ちゃってたみたい。
「おお、織田、目が覚めたか」
「あ、はいっ。お早うございます」
「下関に行くぞ」
「え?下関?でも、狙われてるんじゃ…」
「井上の働きで、また、正使として講和に行くことになったんじゃ」
「え?」
「向こうが『宍戸刑馬』でなければ、話し合いに応じないと言ってきちょるらしい。それで、二回目の交渉はらちがあかんかったようじゃ」
だからって、それで、もう、狙われないですむの?
なんか、安易だなぁ。
「それと、どうやら、政情が急転したらしい」
「政情が急転?なんか、あったんですか?」
「織田が寝ちょる間に、幕府が朝廷の命を受けて、征長令を出したんじゃ」
あ、あたし、そんな長く寝てた?
「せいちょうれいってなんですか?」
「早い話が、長州は、朝敵じゃけぇ、やっちまえっちゅう命令じゃ」
「えええーーー!?」
「じゃから、外国と戦っちょる場合じゃないけぇ、そっちの方は、早う和睦して方をつけて、藩をあげて幕府軍に備えようとしちょるんじゃ」
なーるほど。
けど、ほんっと、やることめちゃくちゃで勝手な藩よね。
「とにかく、下関に行くぞ」
「はいっ!」
でも、その勝手な藩の為に頑張る高杉さんって、案外考え方が古い、忠義者なのかもしれないな。