「何とか答えたらどうなんだ」 そう言うお父さんが憎くてしかたない。 いや、憎いんじゃなくて 私の胸は虚(ムナ)しいんだ… こんなにもからっぽな感情を、表向きだけ向けてくる父に… 私はコトンと小さな音を立てて水場にグラスを置くと、 そのままお父さんの横を通り過ぎた。 ほらやっぱり… 父は私を追いかけてこない。 私は玄関に鞄を置いていた事を思い出すと、その鞄を掴んで 玄関を飛び出した。