「やめてよ!!」



「逃げられないって分かってんだろ?」


クイっとアゴを持ち上げた矢沢は私へとさらに顔を近付けてくる…



レツ!!レツたすけて



こんな時やっぱり一番に浮かんでくるのはレツの顔



…………――その時



「おいおい、まったくたいした告白だな。お前頭のネジいかれてんじゃね?」



その声にいち早く反応したのは私だった、


「レツっ!!!」




振り返ってそう叫んだ時に見えた彼の顔は…少しだけ寂しそうに見えたのは気のせいだろうか………



大きく叫んだ私の声は、人気がいない廊下にこだまして響いた