横を見ないようにしていた私だけど、やっぱり奴はこっちを見ているらしく…視線を感じる
「ねぇ村田さん!」
ビクッとしたのは、怯えてるからとかじゃなくて
まさか話し掛けてくるとは思っていなかったから。
私はゆっくりと横へと振り返った。同じクラスになってからニ週間がたったけど、こいつの顔をきちんと見たのきっと初めて…
「俺 矢沢カズキ。よろしくね」
彼はニコっと笑うと私へと手を差し出した。
その笑顔はどこか不自然で…
「こちらこそ…よろしく」そう言って握った彼の手は、ビックリすくらい冷たくて、窓から入ってきた風がやたらとぬるく感じた。



