少し不安を感じながら自分の席を
確認してみる。
(あった!)
やっぱりあたしの荷物はそこに
置きっぱなしにされていた。
それを持って、来た道を
引き返そうとしていると
聞き慣れた声が廊下の向こうから響いてきた。
(この声はもしかして‥)
ゴクリと唾を飲んで、その場で立ち止まる。
なぜだか今は動いては
いけないような気がした。
「────だから‥〜」
「‥?」
微かに声は聞こえてくるのだけど
距離が遠いのかよく聞き取れない。
いけない事って分かってるけど、
あたしはその声がする方へと
足を進めた。
「うぜーんだよなああいうやつ。」
「分かる分かる〜。出待ちとかダルいよな!」
近付くとハッキリと声が
聞こえるようになった。
‥この声は間違いない。
慶太と健の声だ。

