「お前‥‥」
慶太は頬を押さえて
あたしをまっすぐ見つめている。
「な、何よ。言いたいことあるならハッキリ言いなさいよ」
テレビでは見たことのないその表情に
少しビビりながらも抵抗をする。
こんなことで怯むあたしじゃないんだから!
「お前‥‥‥‥」
慶太がゆっくりとあたしに迫ってくる。
それに合わせて後退りするけど
壁にぶつかってしまってもう逃げられない状況。
「お前‥‥‥‥‥」
慶太が大きく手を振り上げた。
(殴られる───っ)
覚悟を決めて目をギュッと瞑る。
「お前‥‥‥‥気に入った!」
ガシッとあたしの肩を掴む慶太。
「‥‥‥へ?」
想像してなかった展開に、
こんどはあたしがポカン。

