しばらくたって…



「死亡原因がわかりました。呼吸困難によるものと思われます」

「そんなバカな!何箇所か切り傷があるじゃないか!」

「部屋のことは一通り調べ終わった。異常なことと言えば、この睡眠薬ぐらいだよ。
まあ、そのことは後でマック氏に事情を聴くとして、死亡原因についてだな」

「そうなんだ!死因が呼吸困難なのに切り傷が付いている」

「エディ君の言うことも、もっともだ。
だが、よく目を凝らしてみると、傷の周囲に生肉っぽい色をしたペースト状のものが付着している」

「まさか、ふぐの内臓を?」

「さすがはクラフィス医師!よくご存じで。
おそらく犯人は、ふぐの毒が多い肝臓か卵巣、あるいはその両方をすりつぶしたものをナイフの刃に塗り、切りつけて毒殺したんだろう。
その証拠に、腹部のほかに手首や首筋など、重要な血管がある個所に傷がある」

「以前、聞いたことがある。日本人と商談をしていたときに聞いたんだが、ふぐは美味である代わりに、食べる部位によっては毒にあたってしまうと」

「ふぐの毒は、青酸カリの数百倍も強い。血管に直接注入すれば、ものの数十分で死に至るだろ」



そういうとキュリーは、現場から出ようとした。