「そうですが、あなたは?」

「申し遅れました。
私は不動産を営んでおります、クランク・ウッドと申します。
こっちは秘書のマック・マーフィン」

「マックです。
しかし、私たちと同じ一等室では見かけませんでしたね」

「気まぐれでね。
そのおかげで、友人にも迷惑をかけましたが…
ところで、私の素性を知って声をかけたということは、何か相談ごとでも?」

「その通り!
私のような仕事をしていると、よく恨みを買ったりしますので…
ですから、あなたに私を警護していただこうと…」

「しかし、部下の彼を一等に泊まらせているということは、彼にボディーガード的な役割を課しているのでしょう?」

「さすがは名探偵!噂に違わぬ名推理ですな!
その通りです。そのうえで、あなたにも警護をお願いしているのです」

「私もあなたの噂はちらほら聞いています。命の危険も無理はないでしょう。
ですが、脅迫状を送られてきたりある程度の心当たりもない以上、これ以上の警備効果はないと断言できます。
ですから、私を雇っても金の無駄でしょう」


そういうとキュリーは、エディとともにさっさと二等の自分の部屋に戻ってしまった。