「あなたは…
確か舞台で何度か見たことがある。たしか…」

「ローズ・べドウズです」

「あなたのような著名ベテラン舞台女優がご乗車しているとは…
当鉄道会社重役として、厚くお礼申しあげます」

「まあ、重役さんでしたの。
お若いのにすごいわねえ…」

「それで、ローズさん。
あなたは昨夜、何をされていたんですか?」

「午後10時には部屋に入って眠りにつきました。
この年になると早寝早起きの生活リズムになるものですからね」

「ところで、よく新聞の写真に写っている女性…」

「ああ、マリーのことですわね。私の付き人ですわ。
あの子は家族同然と思ってましてね、私の隣の部屋に泊まらせていますのよ」

「ああ、そういえばもう一人、若い女性がいたな…」