圭さんはゴホゴホと、血を吐いていた。


皆が騒ぐ中、冷静な男がこう言った。


「騒がないで下さい。その男を診てあげます」


薬屋さんだ。


「薬屋さん…圭さんは、助かるの?」


「分かりません。ですが、見てみましょう」


薬屋さんはそう言い、圭さんの脈を測ったり、怪我を見た。


「……これは…」


薬屋さんはそう呟いた。


「どうしたんですか?」


私がそう言うと、薬屋さんは静かに首を振った。


「このナイフには、毒物が塗ってあります。おそらく彼は…」


そこまで薬屋さんが言うと、みんな黙った。


薬屋さんが言いたいことは分かる。


分かるけど…。