「まあみ、ここにいたのか」


「あ、アキラ…!」


「…そんな怯えた顔をしないでくれ。そんな顔されると、俺、嬉しくなっちゃうなぁ」


狂ってる。


やっぱりアキラは狂ってる。


私の歯はガチガチと音を鳴らす。


「あああアリス!もう少しでユウも来るよ…」


「ユウ…?あぁ、あのいつも帽子を被って顔を隠してるやつか」


相楽 ユウ。


彼を例えるなら、帽子屋だろう、間違いなく。


お風呂に入るとき以外は、ずっと帽子をしているのだから。