「白ウサギは、ただ歪みゲームを抜け出したかっただけなのに。単純だったんだ、奴は」
…………そんなこと言わないでほしい。
思わず泣きそうになる。
『残り5分です』
人形の声が部屋中に響いた。
さて、どうしよう。
少し違う形にしなければきっと私たちは死ぬ。
「すまんな、アリス、門番」
「!?………っ!」
黒霧がアキラと圭さんを殴った。
「よく聞け白ウサギ姉弟たち!俺は白ウサギに言われた。この歪みゲームを終わらせてくれと!その願い、どうやら俺には叶えられそうにないようだ!変わりに叶えてくれ」
彼はそう言うと、自分を斬りつけた。
「何して…!?」
ましろが黒霧の元へ駆け寄った。
すでに時遅し。
黒霧は自分の首を切ったんだ。
首を切っては、絶対に助からないんだよ。
黒霧さん、ありがとう助けてくれて。
「ましろ。この部屋、変わったとこあるよね」
「え…?………血が…」
「そう。黒霧は、自分を切って血を流したの。おかげで壁と床は血だらけだよ、真っ赤だよ」
「まだ、14歳だったのに、俺らのこと考えてくれたのかよ…」
「黒霧言ってたでしょ、私たちは単純なんだよ。頭のいいアキラは気づくと思ったから、殴ったんだよ…」
ごめんね、黒霧。
そしてありがとう。


