「はぁ…はぁっ」


彼女は逃げていた。


逃げるのが宿命だから。


「待てっ!」


彼は追いかけていた。


追うのが宿命だから。


彼女は逃げる。


この現実に恐れて。


彼は追う。


彼女を現実に戻すため。


彼女を守るため。


「人は、恐れていることから逃げ、嫌なことから現実逃避する。彼は彼女を捕まえられるかな」


もう一人、少年は笑う。


彼と彼女を、見つめながら…。