でも、私は痛くない。


だって、変わりに刺されたのは…


「チェシャ猫!?」


チェシャ猫さんなのだから。


ちなみに、叫んだのは圭さん。


「チェシャ猫さん、どうして…?」


私はチェシャ猫さんに駆け寄った。


「白ウサギ…無事か?」


「はい、無事です。でもチェシャ猫さんは…」


刺さったお腹からは血が止まらない。


「よかった…。俺ね、白ウサギが好きだ。好きなんだ」


チェシャ猫さんが笑って言う。


嘘…。


「白ウサギに死んでほしくない。だから俺は、飛び込んだんだ」


「チェシャ猫さん…」


「大丈夫。でさ、提案があるんだ。


………俺を生け贄にしてくれ」


!!


「まだ死んでない、大丈夫だ。それに、生け贄が死ぬとはも限らない。………だろ?」


「でも…!」


「大丈夫。俺は白ウサギを信じるよ。だか…ゴホッゴホッ」


「チェシャ猫さん!?」


チェシャ猫さんが血を吐いた。


なんで、私なんかをかばったの…?


好きだなんて…それだけで、死なないでよ…。