そして、ユウと王子が歌い手さんを生け贄ゾーンに入れた。


その瞬間、ピーッと音がした。


『歌い手様は、息をしておられないので、生け贄と認められません』


あの人形の声だ。


しかし、カプセルが開いたときに、歌い手さんの姿はなかった。


変わりにあったものは、歌い手さんがハメていた指輪だけ。


「…歌い手も無理だったね~。じゃ、白ウサギ姉弟が生け贄になってよ」


彪也さんはその言葉が終わると同時に、ナイフを投げた。


バカな奴。


死んだら、生け贄に出来ないのに。


そうは思っていても、動けない。


体が動かないのだ。


ましろは身軽だから、サッとよけた。


ヤバい、私に向かってくる…!


「まあみ!」


シュッ グサッ


「………っ、」


目の前に、血が流れた。