「・・・」
「よぉ、大野。一緒に帰らな――」
「帰らない。俺、もう少しやる事あるから・・・」
ただ今の時刻・・・5時50分。
「ふ~ん・・・。じゃぁ、明日な」
「ああ・・・」
真山はそう言うと、ドアを閉めて行った。
「・・・」
俺は東雲の事が気になっていた。
中等部の荒真先生の所に使いに出して、戻って来てから・・・様子が変だった。
東雲の様子が変な時は・・・必ず決まって・・・何かが起こる前触れ。
だから、俺は物凄く嫌な予感がした。
「・・・はぁ~・・・」

「・・・ん~・・・」
「先生、何悩んでるの?」
「よぉ、橘・・・」
東雲の親友・橘・・・。
「・・・何か、仁菜も元気ないんだけど・・・先生と一緒で」
「・・・そうか・・・」
「せんせ、仁菜に何かした?」
「良いや・・・。ただ、中等部の荒真先生の所に使いだしたんだよ・・・。それからなんだよ・・・東雲の様子が変なのは・・・」
「・・・中等部って・・・真山先生が居る所じゃん・・・。しかも、真山先生って・・・中等部の陸上部顧問になったらしいよ!」
「え?」
まさか・・・?
「橘、東雲・・・部屋に居るよな?」
「うん」
「俺が戻って来るまで部屋には入って来るなよ!」
俺は橘に良い残し、部屋に向かった。
「・・・邪魔はしませんよ~」

「・・・東雲、俺だ。今、良いか?」
すると、ドアが開いた。
「・・・聞きたい事があるんだ・・・」
「うん・・・」