卒業式が終わって、しばらく経った教室。

窓からはいまだ別れを惜しむ生徒たちの声で賑やかだけれど、建物内はすでに静まり返っている。


静かな2人分の呼吸音しか聞こえない室内で、俺は彼を抱きしめ口づけを交わしていた。



「卒業おめでとう」

離れた瞬間にそう言うと、
視線を斜め下に向けつつも、小さく返事があった。


「……ありがとうございます」

彼の頬に手をあて、こちらへ向け直し、もう一度唇を落とす。

大人しく受けている事を確かめ、手を彼の首元へと向かわせた。

その動きに流石に彼も身じろいだが、もう片手で封じる。