「あ、常陸くんだー。バイバーイ」 「常陸くんバイバイ。明日プリント忘れないでね」 廊下を歩けば、あちこちから“常陸くん”という女子の声が聞こえてくる。 ドアから顔を出している人、わざわざ海の横まで来る人。 それは大人しそうな子もいれば、ギャルのような派手な子もいて。 「常陸ー、また明日な」 「宿題忘れんなよー」 男子の声も同じくらい混ざっていて、 友達がいないわけじゃないんだと漠然と思った。