去っていこうとする黒燈の背中に私は無我夢中で声をかけた。
「白銀君!」
黒燈は立ち止まり、振り返って不思議そうな表情で私を見た。
「私…まだ食べ終わってないし、お昼休みもまだ時間あるし…だから…その…」
ストレートな言葉で言えない自分に苛立った。
「ありがと。」
黒燈は最初に見せてくれた笑顔を再び見せてくれた。
そして、私の隣にもう一度座った。
上着の内ポケットをゴソゴソと探し、チョコレートを取り出した。
「じゃあデザートもここで食べさせてもらおうかな。」
「あぁ、それと二人とも白銀君じゃなくて、黒燈でいいよ。」

