「そ、そう?普通だよ。」
ぎこちなくそう答えた私に美和は怪訝そうに言った。
「普通じゃないでしょ、何だか顔色も悪いし…」
美和の言葉を遮るようにに始業のチャイムがなった。
所々で転校生の話題で盛り上がっていた生徒たちも急いで席についた。
全員が座り終えるとほぼ同時のタイミングで担任の神山先生が教室に入って来た。
「さぁて、ホームルームを始める前に、もうみんなも知っていると思うが転校生を紹介する。」
「何にやら、待ち遠しそうだしな…特に女子が…。」
女子生徒が神山先生に茶化されてキャーキャーと黄色い歓声をあげた。
私ははしゃぐ同級生達を尻目に外をぼんやりと眺めていた。
昨日の光景が頭から離れない。
人が消えるなんてことありえるのだろうか。
あれは私だけが見た、幻覚だったのだろうか。
あれが現実ならば、あの青年は一体何者だったのだろうか。
あの闇に輝く銀の瞳をした青年は…
疑問苻で頭がパンクしてしまいそうだ。

