びしょ濡れで帰った私は夕食もとらずにシャワーを浴び、布団に潜り込んだ。



眠れるはずもないと思っていた私だったが、いつのまにか眠ってしまい、目覚まし時計がけたたましくなる音で跳び起きた。



眠れはしたが、身体の疲れがとれている気がしなかった。



現実ではありえないモノを目にしてしまったのだから無理もない。



学校に行く元気などあるはずもなかったが、昨日の事を親に話してもずる休みの狂言と思われるのは目に見えている。



身支度を整え、家を出た。



昨日の路地からなるべく遠ざかる順路で学校に向かう。



あんな事があったというのに、学校にはいつもと変わらない日常が広がっていた。



それはそうか、なんて独り言をつぶやくと何だか逆に笑えてきた。



教室に入ると、なんだかいつもと雰囲気がちがっていた。



女子が口々に何かの話題で盛り上がっている。



「佐奈子!聞いた?」



親友の美和が覆いかぶさる様に私に詰め寄った。



「な、何を?」



「転校生が来るらしいよ、しかも超カッコイイってさ!」



「そ、そうなんだ。」



「佐奈子、なんか元気ないね?」