家に着いて、用意されていたうちと海以の2人部屋にまず入った。


生まれて初めての自分たち専用の子供部屋に、嬉しさがこみ上げた。


荷物をまだ片づけていなくて、だいぶ散らかっていたけど。


飛行機での長旅の疲れを取る間もなく、うちらは部屋の片づけに専念した。


海以は今年から小学1年生。


うちは六年生になるから年の差は5つ。


だから自分の勉強机と隣に海以の机が並んでいるのは、とても不思議な感じがした。


片づけの合間に、他の部屋も見て回った。


なんだか少し寂しさがこみ上げてきた。


・・・・・・5年前とは全く違う。


うちは生まれてから、ここの、この家に住んでいた。


でも5年前、あることがきっかけでうちと海以は鳥取のじいちゃんとばあちゃんの家に預けられた。


鳥取のじいちゃんとばあちゃんは、父さんの親。


預けられてから、ずっとずっと鳥取で暮らして、今日やっと元の家に戻ってきたのに。


なんだか全く知らない場所に来てしまった気がした。


そもそも、なんでこんなことになっているのか。


うちは生まれてから今日までを、思い出してみた。




遠い遠い、昔の記憶。


うちは上手く、思い出せるのだろうか・・・。