「なるほど、確かに結構聞きますね。根も葉もない下らない噂ですけど。あんなの信じちゃダメですよ」
「あ、あぁ。分かってるよ。なんだよそんなにムキになって」
正樹の威圧的な言葉に、進は少し気圧された。沙優の方をちらっと見ると、こっちには気付いていないらしく、相変わらず有華と美紅と楽しそうに話している。
「だって、男たらしだとか、3股かけてるとか。挙げ句の果てに“ウリ”してる、とか。ひどくないですか?」
「お、落ち着けよ。確かにひどいな、そりゃあ」
「ちょっと喋ればそんな子じゃないことくらい、分かりますよ。真っ当な人間ならね」
不機嫌そうに、正樹は手にしていた200ミリリットルのパック牛乳に口をつけた。
「で、真っ当でない人間と、沙優ちゃんと面識のない人間たちの間で、噂が広まってるってわけか」
「そう。噂が独り歩きしてるせいで、もともとあの子を知ってる人以外はなかなか接点を持とうとしないっていうか…話せばいい子なのに」
なす術なさそうに、正樹はうなだれた。まるで自分の事のように沙優を心配する正樹を見て、内心、進は嬉しかった。
少々喋るだけでたちまち味方を作ってしまう沙優の不思議な魅力は、やはりどこか有華に似た所がある。
その点では、進の推測もあながち間違いではなかったといえる。
きっかけさえ作ってやれば、沙優の悩みもなんとかなりそうだ。と、そう進は再確認した。
「あ、あぁ。分かってるよ。なんだよそんなにムキになって」
正樹の威圧的な言葉に、進は少し気圧された。沙優の方をちらっと見ると、こっちには気付いていないらしく、相変わらず有華と美紅と楽しそうに話している。
「だって、男たらしだとか、3股かけてるとか。挙げ句の果てに“ウリ”してる、とか。ひどくないですか?」
「お、落ち着けよ。確かにひどいな、そりゃあ」
「ちょっと喋ればそんな子じゃないことくらい、分かりますよ。真っ当な人間ならね」
不機嫌そうに、正樹は手にしていた200ミリリットルのパック牛乳に口をつけた。
「で、真っ当でない人間と、沙優ちゃんと面識のない人間たちの間で、噂が広まってるってわけか」
「そう。噂が独り歩きしてるせいで、もともとあの子を知ってる人以外はなかなか接点を持とうとしないっていうか…話せばいい子なのに」
なす術なさそうに、正樹はうなだれた。まるで自分の事のように沙優を心配する正樹を見て、内心、進は嬉しかった。
少々喋るだけでたちまち味方を作ってしまう沙優の不思議な魅力は、やはりどこか有華に似た所がある。
その点では、進の推測もあながち間違いではなかったといえる。
きっかけさえ作ってやれば、沙優の悩みもなんとかなりそうだ。と、そう進は再確認した。

