スマイリー

「正樹さぁ、沙優ちゃんとしゃべったことある?」



進は、それとなくクラス内での沙優の様子を聞き出そうと考えた。



「岩瀬さんですか?ありますよ。授業中にちょっとだけですけど」



「そうか。友達多いの?」



「先輩、保護者みたいですね」



「うるさいな。早く言えよ」



「あはは。すみません。どうかなぁ、普通くらいだと思いますよ?」



「ふぅん」



興味がない風な返事を返して、進は買ってきた購買のクリームパンをかじった。



「ああ、でもなんか、クラスの中では若干浮いてるような、浮いてないような」



「…やっぱり?」



「やっぱりって、先輩何か知ってるんですか?」



正樹に突っ込まれた進は、どこまで話して良いものか悩んだ。



「噂みたいなのを、ちょっと聞いたりするんだよ」



「噂…ですか」



当たり障りのないように、進がやんわりと現状を報告すると、それまで能天気に話を聞いていた正樹の表情が少し変わる。