スマイリー

「思い出した。小島先輩」



「そう。久しぶりだな、沙優ちゃん」



沙優を進とあきらが挟み、３人は横一列に並んで学校を目指した。



「小林とは仲良くやってるの？沙優ちゃん」



歩き出してすぐ、あきらが尋ねた。



「もうそれはさっき俺が聞いたんだよ」



「あいたっ」



進は冗談っぽくあきらの頭を軽くひっぱたいた。



「沙優ちゃん、あの話はまた次の機会に」



「えっ」



沙優は進の顔を見た。



「あきらがいると、真面目な話も真面目じゃなくなっちゃうからな」



「おい、あの話ってなんだよ！」



「俺と沙優ちゃんだけの秘密。ね？」



進はもう一度、沙優に笑いかけた。自分の性格とはかけ離れたセリフが自分の口から発せられることが、なんだか可笑しかった。



「…とりあえず、今は楽しく登校しよう」



小声で沙優に囁いた。



「大丈夫。ちょっと考えがあるから」



不安そうな沙優の肩を軽くぽんっと叩くと、沙優もようやく笑顔を見せた。