「うまくいくよ、うん…多分ね。頑張って」
笑顔を作って、進は当たり障りのない言葉で沙優を励ました。
「うーん…頑張りたいんですけど」
「何?なんかあるの?」
「やっぱり淳也くん、人気あるみたいで…そんなヒトとよく話したりすると裏で反感買うんですよね」
寂しそうに沙優が弱々しい笑顔を返した。
「あぁ、それは…その、いじめ的な?」
「いえ、そこまでじゃあないんですよ。何か色々噂とかが流れてるみたいで」
「えぇ?ひどいな、それ」
本当に人間というものは、なんという汚れた生き物だろう。有華といい、沙優といい、いたいけな少女をよくもいけしゃあしゃあと迫害できるものだ。
進は人間の黒い部分をリアルに感じた気がして、気分が悪くなった。同時にそのような輩に怒りすら覚えた。
だが、もちろんそれは有華や沙優が自分がある程度見知っている存在であるためなのは自覚していた。
もし全く見ず知らずの人であるならば、そのような噂を頭から信じることもあるし、率先してそれを広めることも、確かにしたであろう。
そう考えると、何だかバツの悪い気分になる。

