「なるほどね。じゃあ、明日あたりメルアドいただきに行くか」
「いや、あきらめた」
駅に着いて、改札近くに設置されているベンチに、ふたりは腰をかけた。
「なんで?小林くんはこの半年で5回くらいしか喋ってないって言ってたじゃないか」
「だって、多分小林と沙優ちゃんは両想いだぜ」
肩にかけていたスポーツバッグを床に置いて、あきらはまだ合点がいかない進に説明を続けた。
「好きじゃないならわざわざ定期入れとか渡しに行かないよ。教室にいた男の友達に頼めばいいんだし」
「そうか。ゲーセンにいるって分かったなら電車賃持ってることだって想像つくもんな。明日学校で渡したって支障ないはずだ」
「そう。お前と大崎と同じ」
途端に自分の顔が赤くなるのを、進は感じた。

