スマイリー

「うーん、進もしかして、勉強あんまりうまくいってないとか」



「当たり。俺、高3で失速するタイプだったみたい」



藍は2年の頃の進までしか知らない。



進は、あきらや有華ほどではないが、2年までは成績が良かった。




そのせいで、進には当時受験を少々軽く見ている節があった。



志望校の心学社も、模試の判定ではいつも合格圏内だったし、もうワンランク上の西京大学でも十分に狙える学力がある、と2年の担任に太鼓判をおされたほどだから、無理もない。




楽勝、楽勝。
大学なんて。




藍の言葉に胸が痛んだのは、過去の自分をその言葉の中に捉えたのが原因だった。



今の自分はどうだろう。西京や心学社どころか、立山市大、滑り止めの関南大学すら危うい現状。



そういえば数時間前、有華が言っていた。



“ちゃんとやらないから模試ができないんじゃないの?”



知らず知らずのうちに勉強が手抜きになっていたことを、有華は見抜いていた。



「…やっぱ大崎はさすがだな」



つい口に出してしまった。進の声は藍にもしっかりと聞こえたようだった。