スマイリー

「ねえ、ここで話すのって何回目だろう」



自販機にもたれかかったまま、有華はすとんとしゃがみこんだ。



「さぁ。センター前の昼休みと、センター後の放課後に1回づつ、今日いれると3回じゃないか?数えると意外に少ないな」



立ったまま進は空を眺め、指で回数を数えながら答えた。有華はそれを聞くと、にこりと笑って進を見上げた。



「もう1回あるって知ってた?」



「え」



驚いて進は記憶をフル回転で遡りだした。



11月の頭、有華の悩みを聞いたこと、センター試験の直後、帝二大受験を打診された日のこと、それと今。それ以外にはどうこの1年を振り返っても、ここでの有華との思い出は浮かんでこない。



「やっぱり覚えてないか」



意地悪な笑みを浮かべて、有華が言った。



「うそだろ。ないよ。3回で全部」



「あるんだな、これが」



そういうと有華はおもむろに立ち上がり、進にその小柄で華奢な体を目一杯近付けた。



「え、え?大崎?」



あまりの近さに声をあげる進にはお構い無しに、有華は左手は進の背中に回して、右手は進の左胸に触れる。



突然の出来事に、進の顔はみるみる上気した。思考能力は一時的に停止。身体機能も停止。