“次は、桜塚、桜塚、西京大学にお越しのお客様は―”
車掌の特徴的なアナウンスが流れる。
「おっと、もう着いちゃうな。次に会うのは卒業式か?」
荷物を肩にかけ直して、あきらは進に尋ねた。
「俺は卒業式まで毎日学校行くけど、あきら来ないの?」
「行かないよ。だって今日明日で受かるし、勉強の必要がない」
「そうかい」
さらりと言ってのけるあきらがいやみでないのは、あきらが今まで信じられないほど勉強してきたのを知っているからだ。
そんなことを言っているうちに電車はスピードを緩め、到着体勢に入った。
「じゃあな。受験終わったら遊びにいこうぜ」
「どこに」
「そうだな、バッティングセンターなんてどうだ」
狭い車内で、あきらはコンパクトにスウィングをしてみせた。
「嫌なことを思い出させるなよ」
「冗談だ。じゃ、頑張れよ、帝二も、大崎のことも」
そう言い残して、あきらは他の大勢の受験生にもみくちゃにされながら電車を降りた。
再び進を乗せた電車は、微速前進。
「…言われんでも分かってる」
窓の外を流れていく桜塚駅のホームに向かって、進は呟いた。
車掌の特徴的なアナウンスが流れる。
「おっと、もう着いちゃうな。次に会うのは卒業式か?」
荷物を肩にかけ直して、あきらは進に尋ねた。
「俺は卒業式まで毎日学校行くけど、あきら来ないの?」
「行かないよ。だって今日明日で受かるし、勉強の必要がない」
「そうかい」
さらりと言ってのけるあきらがいやみでないのは、あきらが今まで信じられないほど勉強してきたのを知っているからだ。
そんなことを言っているうちに電車はスピードを緩め、到着体勢に入った。
「じゃあな。受験終わったら遊びにいこうぜ」
「どこに」
「そうだな、バッティングセンターなんてどうだ」
狭い車内で、あきらはコンパクトにスウィングをしてみせた。
「嫌なことを思い出させるなよ」
「冗談だ。じゃ、頑張れよ、帝二も、大崎のことも」
そう言い残して、あきらは他の大勢の受験生にもみくちゃにされながら電車を降りた。
再び進を乗せた電車は、微速前進。
「…言われんでも分かってる」
窓の外を流れていく桜塚駅のホームに向かって、進は呟いた。

