「松本は?関南と心学社だったっけ」
「うん。関南の結果は3月4日。手応えはあったって本人は言ってたけどな。心学社は、どうだろうな。問題の内容次第だと思う」
「あきらが勉強教えてるんだろ?百人力じゃないか」
美紅もそこそこ勉強はできるようで、さらにあきらが勉強を教える訳だから、心学社でも不可能ではないだろう。多分。
「まぁ、最後は運だな」
こればっかりは仕方ない、とでも言いたそうな表情で、あきらは苦笑した。
「運って。そんな身も蓋もないこと言うなよ」
「だってそうだよ。得意な問題に当たったヤツは、合格しやすい。当然の帰結さ」
「確かにそうだけど」
「でもまぁ、神様もそこまでひどくない。頑張ったヤツは、結局そういう運を引き当てる。そういうふうになってるって、俺は思うよ」
あきらはいつになく真面目なセリフを吐いて、進に笑いかけた。
「お前も頑張ったヤツだ。進」
「たまに良いこと言うな、あきら」
「うるさい」
そういえば、1週間後には卒業式。あきらとこうやって言い合えるのもあとわずかだ。そう考えると、なんとも寂しい。

