スマイリー

進は走っていた。
いつかの金髪男襲撃事件のとき以来か、こんなにしっかり走っているのは。



目指すは学校の最寄り駅。改札前に有華が待っているはず。



敬太の話はこうだった。



“有華ちゃんさ、よく俺に進の話してくれるんだ。それを聞いてると、有華ちゃんが進を好きなのは間違いないと思う。だけど、暮れにこんなメールをよこしたんだよね。『進って、藍先輩と付き合ってるんですか』って。よくよく話を聞いてみたら、どうやら、10月の終わりだったかな、進と市川が会ってるのを見たらしいんだ”



有華の家での勉強会の日だ。確かにあの日は藍に会った。偶然だ。進はあの夜大きな声を出したし、有華はその声を聞いて家から出てきたのだろうか。



“それから12月の上旬。有華ちゃんの友達が、ファミレスから進と市川が出てくるのを見たって”



有華の親友であきらの彼女、松本美紅の顔が頭に浮かんだ。



“だから聞いてきたんだと思う。進と市川の関係をさ。そのとき俺、あの子に分からないって言っちゃったんだよね。有華ちゃん、進は市川と付き合ってると思ってるんじゃないかな?だから進の受ける帝二は避けてるんだよ、きっと”



敬太の言葉には、妙な説得力があった。