スマイリー

意味深長な大地のセリフに、進は興味を持った。



「何ですか、今のふたりの秘密的な会話」



「大地はねぇ、1年のとき市川に告白してるんだよ」



進は勢いよく大地の方へぐりんと振り向いた。大地は進からあわてて目をそらし、口をとがらせた。



「気の迷いだ。昔の話だ。若気の至りだ」



「そう言えば何か藍さんに弱み握られてる感じでしたね。そのことだったんですか」



大地が口ゲンカでは藍に大幅に負け越している理由が分かった。



いつも藍に「1年の時」とか「告白した」とか特定のワードをちらつかせられると、大地はその時点でいつも白旗をあげていた。



まさか相手が藍だったとは。



「告白して、どうなったんですか。結果は?」



「それだけは聞かないでくれ。頼む」



どうやらトラウマになるほどの振られっぷりだったようだ。



「好きだったのはマジだ。今は大事なダチだよ、それだけ」



「ひゅう、かっこいい、大地っ」



「てめぇ、バカにしてるな」



冷やかす敬太に、大地が飛びかかった。どたばたとじゃれ合うふたりを見るのは初めてで、新鮮に感じた。敬太は思っていたよりずっと気さくで、能動的で、少し胸が痛かった。有華と悔しいくらいに釣り合っているように感じた。