スマイリー

「それで、市川の提案で部活見に行くことにしてるんだ。みんなたまたま土曜日は空いててね」



敬太が右手の人差し指をピンッと立てて言った。



「言い出しっぺの市川はあんまし来ないけどな。高橋ぃ、サボるなよ!」



大地はジョギングの最後尾を走る後輩にゲキを飛ばしていた。



あの頃の三本柱が、今も仲良く高校に来ている。



学校への道を歩きながらケンカする藍と大地に、それを笑って仲裁する敬太。その光景を想像するだけで、なんだか顔がほころぶ。



少しだがその光景の再構成に自分が貢献できたことに、進は喜びを感じていた。



「藍さんなら、俺この前会いましたよ」



「なにっ、そうなのか。あのさぁ、進は結局ホントに市川とは何にもなかったわけ?」



大地が興味津々に尋ねてくるのが可笑しかった。



「何にもなかったですね。面白いほどに」



きっぱりとそう言っても、大地は信用していそうになかった。



「ホントにお前はガードが固いな。結局一度も口割らなかったし」



ガードが固いわけではない。本当に何もなかったのだから。藍を好きだったのは事実なのだけれど。