スマイリー





「そんなの、とって付けた理由にしか聞こえない。結局あたしを利用するだけなんだ。学校のために、あたしを使うんでしょ」



なおも激しく食って掛かる有華に、日下部は数秒考えるように視線を落とし、すぐに有華の怒り心頭の表情と対峙した。



「…そうだ。東大合格者が出れば宣伝になる」



周りの教師たちがざわっと反応したのを見て、進は無意識に身体を震わせた。松野もピクリと不気味に眉毛を動かし、日下部を見た。有華の表情は、もっと怖かった。



「あたしは道具じゃない!」



有華は目に涙を溜め、大声でわめいた。



「あたしは、客寄せの道具じゃない!」



同時に有華は震わせていた左手を高々と挙げ、日下部に飛びかかろうと踏み込んだ。







「お、大崎っ」



進は、自分のせいで時が止まったと思った。



「…ナイト登場か」



小さな声だが、日下部の後ろで確かに松野がクックッと笑って呟いた。