スマイリー

しんと静まりかえっている教室には、自習で残っている生徒が十数人。教室内とは反対に、窓の外からはジョギングをする運動部の整然とした足音や、かけ声などがひっきりなしに聞こえている。



外が騒がしいほど教室の静けさもまた際立って、まるでこの部屋だけ外と空間が隔絶されているような妙な気分になってくる。



手が動かなくなるほど難しいと思った帝国第四大の英語も、落ち着いて解いてみれば分かる部分も決して少なくなかった。



60分ほどで解き終わり、採点結果は7割5分。二度目の回答であることを差し引けばいまひとつと言ったところだが、一度目の回答時に落ち着いて諦めず解いていれば全く歯が立たないと言うわけではなかったようだ。



“メンタル面も重要だな。緊張が最大の敵かも”



解説を読みながら、細かく答え合わせをしていく。読めなかった単語はその場で単語帳に加え、文法や和訳に分からないところがあれば、次の日にでも有華に聞けば大抵解決する。



進は数学は帝大が相手でも二度目をやるといつも満点近く取れるし、国語は家で点数アップが見込める古典のみ復習することにしている。



だから、学校で勉強するのはもっぱらネックの英語だ。1ヶ月弱、どれだけ英語の点数が伸びるかにかかってくる。