「進みたいに勉強できる人が“100位なんて”とか言っちゃうとね。翔一はプライドが高めだからカチンときたんじゃないかな」
自販機の前、進の真横まで歩み寄って、敬太は穏やかな口調を崩さずに推測した。
「うーん…でも、ちょっと頑張れば、100位って取れません?文系ってウチの学年150人しかいないんですよ」
進の言い分を聞いた敬太は、やはり柔和な笑顔を保ったままだ。
「まぁね。それはそうなんだけど」
「部活ってそんな簡単にやめていいもんじゃないですよね。100位以内キープしながら部活続けるのって、そんなに難しいですか?」
段々口調が厳しくなっていくのが自分でも分かった。
敬太は困った顔をして、進の発言を聞いていた。
「翔一は逃げてるんですよ。単純に勉強してないか、ヘタしたら部活行きたくなくてわざと勉強しなかったのかも」
進はほとんど怒鳴り声で、そう吐き捨てた。
それでも、敬太は穏やかな笑みを崩さず進を見詰めていた。

