「部活戻らなくていいの?」
コーヒーを飲み終わって、敬太は空き缶を、自販機からなぜか数メートル離れた場所にあるゴミ箱に捨てに歩いた。
「翔一の説得失敗したんで戻りづらいですよ」
男子にしては華奢な敬太の背中に向かって、進はぼやいた。
「翔一はさぁ、100位以内に入れればまた戻って来れるんでしょ?」
大きめのゴミ箱にもたれて進の方を振り返り、敬太が尋ねた。
「はい、多分。俺もそう言ったつもりだったんですけど。100位なんてすぐとれるから頑張れって」
「あぁ…それかな、翔一が怒ったのって」
敬太がぽつりとこぼしたセリフに、進は反応せざるを得なかった。
「あの、それって、どれですか」
「具体的には“100位なんて”が地雷だったんじゃないかと思うよ。はい、パス」
進はアイスココアの空き缶を、敬太に向かってひょいと放った。
それを左手でぱしっとキャッチすると、敬太はそれを背中のゴミ箱にカランと捨てた。
「翔一、勉強行き詰まってたみたいだし、進に言われて、余計に腹が立ったんじゃないかな」
「俺に言われると腹が立つんですか?なんで」
「進が勉強できるからでしょ、そりゃあ」
“頭良いお前に分かってもらおうなんざ思ってねぇよ”
翔一の言葉が脳裏をよぎった。
コーヒーを飲み終わって、敬太は空き缶を、自販機からなぜか数メートル離れた場所にあるゴミ箱に捨てに歩いた。
「翔一の説得失敗したんで戻りづらいですよ」
男子にしては華奢な敬太の背中に向かって、進はぼやいた。
「翔一はさぁ、100位以内に入れればまた戻って来れるんでしょ?」
大きめのゴミ箱にもたれて進の方を振り返り、敬太が尋ねた。
「はい、多分。俺もそう言ったつもりだったんですけど。100位なんてすぐとれるから頑張れって」
「あぁ…それかな、翔一が怒ったのって」
敬太がぽつりとこぼしたセリフに、進は反応せざるを得なかった。
「あの、それって、どれですか」
「具体的には“100位なんて”が地雷だったんじゃないかと思うよ。はい、パス」
進はアイスココアの空き缶を、敬太に向かってひょいと放った。
それを左手でぱしっとキャッチすると、敬太はそれを背中のゴミ箱にカランと捨てた。
「翔一、勉強行き詰まってたみたいだし、進に言われて、余計に腹が立ったんじゃないかな」
「俺に言われると腹が立つんですか?なんで」
「進が勉強できるからでしょ、そりゃあ」
“頭良いお前に分かってもらおうなんざ思ってねぇよ”
翔一の言葉が脳裏をよぎった。

