スマイリー

口を滑らせて出てしまった言葉は再び口の中にしまいようがない。



「いや、別に無理にってわけじゃないんだぞ。西京行きたいならそれでいいんだけどさ」



有華は相変わらず黙ったままだ。何か胸に引っ掛かったものを外に出そうかどうかと、思案しているような顔に見えた。



「何かごめん、困らせたかな」



「いや、なんていうか…嬉しいんだけどね、あたしとしては」



風になびく明るめの髪を手で押さえて、照れ笑いを浮かべる有華。



「何かワケあり?」



藍の言葉が思い出された。



「……」



「西京に何かあるのか?」



「うーん…まぁ、ね」



言葉を濁らせる有華は進の顔を見られない様子で、前を向いたまま少し気まずそうに笑った。



「そうか…うん、頑張れよ。まぁ大崎なら受かるとは思うけどさ。油断大敵だ」



進は立ち上がってバッグを肩に担いだ。やろうかどうか悩んだが、まぁこれくらいは、と、座っている有華の頭の上に左手をポンっと乗せた。



「俺、帝二受けてみるわ。記念受験っていうほど確率も低くないし、落ちても後期頑張れば西京行けるみたいだしな」



それに、センター利用を使えば相性次第で上位の私立大も合格が可能だ。