スマイリー





ため息をついたら、お腹が減ってきた。進は携帯をポケットから出してディスプレイをのぞいた。時計は正午を指そうとしている。今から家に帰るとすれば、1時前には着くだろう。



「あぁ、今日お昼何かな」



「何、進?現実逃避ってやつ?」



「昼ご飯は思いっきり現実だろう。大崎は夢のなかで昼飯食べるのか」



「そんなへ理屈ばっかり言ってるとバカって思われるよ」



「誰に」



「あたしに」



有華の笑顔が、いつもの柔らかさを取り戻してきたような気がした。



それを見てとれただけで、少しは有華の力になれた、と、進はそう思えた。



肌を切り裂くような冷たい風が、二人の脇を抜けて目の前の花壇の植木に吹き付けた。植木は少々枝を震わす程度に揺れ、代わりに花壇に積もった落ち葉がザァッと舞い上がった。



「帝二は考えてないのか、大崎は」



「あー、まぁね。県内だし帝二でも大丈夫といえばそうなんだけど」



「一緒に帝二受けない?俺は受かるか分からないけどさ」



進が冗談っぽくそう言うと、有華の表情はまたもぴくりとこわばった。