何分間か、居心地の悪い静寂がふたりの周りを包んでいた。
有華は口をきつく結んだまま、前方の植え込みに立っている木々を眺めている。
葉っぱは全て枯れ落ちて、風が吹いてもザワザワと耳障りな音をたてることはない。ただただ無言を貫いて、進と有華を傍観するハラのようだ。
いつも友達に囲まれて笑い合っている有華が、授業以外の時間に無口な姿を見せることなんて、進は想像もできなかった。それほど普段の有華はその名の通り華やかで、明るくて、その場の明度をくっと何ルクスか強制的に上昇させる能力があった。
その分、今進の隣で、進をちらりとも見る素振りをみせず、ノースピーキングを決め込んでいる有華は違和感があった。不気味というよりもむしろ新鮮と表現する方が進の心情に合致するだろうか。
その横顔、柔らかそうな頬は寒さのためかうっすら赤みを帯びていて、時折手袋をはめた両手を口に当てるたびに、そのすき間から白い息がふわりと立ち上る。
進は黙っている有華が何か自分に答えを求めているのではないかと思った。
有華は進が答えを出すのを待っている。だから黙っているのではないか、と。
有華の悩みはおおむね進の悩みで、はたまた進の悩みは大体が有華の悩みなのだから、解決策がそう簡単に絞り出せるはずはない。
仮に、今この瞬間に有華が何らかの解決策を思い付いたのだとすれば、有華はその口を開いてその内容を進にも教示してくれるはずである。これは彼女の性格上間違いない。
ならば有華が黙っていると言うことは、まだ解決方法を思案している最中か、もしくは進がそれを提案することを待っているかのどちらかということになる。
そうでなければ、この気まずい空気が流れる中で、有華が今も無口な女子生徒を演じ続ける必要性など全くないからである。悩み事の解決に役立ちそうにない進を見限って、じゃあ、とこの場を立ち去る方が、よっぽど賢い。
と、このように進は論理を展開した。
有華は自分に期待している。進がきっと何らかの良いアイディアを出すだろうと期待している。そう考えてしまうと、重圧を感じずにはいられない。
有華は口をきつく結んだまま、前方の植え込みに立っている木々を眺めている。
葉っぱは全て枯れ落ちて、風が吹いてもザワザワと耳障りな音をたてることはない。ただただ無言を貫いて、進と有華を傍観するハラのようだ。
いつも友達に囲まれて笑い合っている有華が、授業以外の時間に無口な姿を見せることなんて、進は想像もできなかった。それほど普段の有華はその名の通り華やかで、明るくて、その場の明度をくっと何ルクスか強制的に上昇させる能力があった。
その分、今進の隣で、進をちらりとも見る素振りをみせず、ノースピーキングを決め込んでいる有華は違和感があった。不気味というよりもむしろ新鮮と表現する方が進の心情に合致するだろうか。
その横顔、柔らかそうな頬は寒さのためかうっすら赤みを帯びていて、時折手袋をはめた両手を口に当てるたびに、そのすき間から白い息がふわりと立ち上る。
進は黙っている有華が何か自分に答えを求めているのではないかと思った。
有華は進が答えを出すのを待っている。だから黙っているのではないか、と。
有華の悩みはおおむね進の悩みで、はたまた進の悩みは大体が有華の悩みなのだから、解決策がそう簡単に絞り出せるはずはない。
仮に、今この瞬間に有華が何らかの解決策を思い付いたのだとすれば、有華はその口を開いてその内容を進にも教示してくれるはずである。これは彼女の性格上間違いない。
ならば有華が黙っていると言うことは、まだ解決方法を思案している最中か、もしくは進がそれを提案することを待っているかのどちらかということになる。
そうでなければ、この気まずい空気が流れる中で、有華が今も無口な女子生徒を演じ続ける必要性など全くないからである。悩み事の解決に役立ちそうにない進を見限って、じゃあ、とこの場を立ち去る方が、よっぽど賢い。
と、このように進は論理を展開した。
有華は自分に期待している。進がきっと何らかの良いアイディアを出すだろうと期待している。そう考えてしまうと、重圧を感じずにはいられない。

