スマイリー





「あ、あのさ、大崎?」



空き缶も拾わずに、進はゴミ箱と自販機とのちょうど中間地点で有華の方を振り返った。



「うん?」



自販機にもたれて立っている有華が首をかしげて返答した。その姿は悩ましげというか、メランコリックというか、とにかく可愛いという一言で片付けられない魅力を無尽蔵に発していたのだが、それを有華自身はあまり自覚してはいないようだった。



「俺の悩み、また聞いてくれないかな」



「今?」



「今」



進がそう言うと、有華は自販機にくっつけていた背中を離し、とんっ、と前方に一歩半ばかりジャンプした。



「あたしの悩みは聞いてくれないのかよ」



今朝あきらが見せた膨れっ面をどう修正すればこうなるのかと思うくらい、不満気に有華が頬を膨らませるその顔は進の大脳を上下左右に激しく揺らした。



「何ていうか、大崎の悩みは難しい」



「まぁ、簡単だったらとっくに解決してるからね」



髪を右手の指にくるくると絡ませながら、有華はふうっとため息をついた。



「東大を受けろと言われてどうするかなんて、俺には東大受かる頭がないから想像できない。だから、とりあえず俺の悩みを聞いてくれ」



「まぁ、時間もあるし別にいいよ」



有華の承諾をもらうと、進は有華の隣まで戻り、自販機にもたれて座った。それを見て有華も一歩半後退し、自販機を背に腰を下ろした。