スマイリー

背中に当たった言葉はおよそ有華が発するとは思えないほど力のないセリフで、進は振り返る力を何かに奪われたかのようにその場で数秒固まった。



「なんて。進に言っても困るだけだよね。ごめん」



有華が完璧だなんて、誰が決めたんだろう。



有華は普通の人間なのだ。進と同じように悩みもするし、困りもする。ときには誰かに相談することも。



しばしばそのことを忘れがちになっている自分が、有華のことを何も分かっていないように感じて、少し息苦しかった。



と言っても、元々有華のことなんてあまり知れていないのは事実なのだけれど。



それなら自分は有華のために、何ができるのか。



進にできることなんて限られているが、それでも何かせずにはいられない。



有華の普段の笑顔を見たい。



そんな思いが進の体内を駆けめぐった。