「進、コーヒー好きだね」
「軽く依存症かも」
「はは」
有華は飲み終わったらしいホットココアの缶を、ひょいっと投げ捨てた。空き缶は美しい弧を描いて、少し離れた場所に設置されたゴミ箱に、カランと入った。
「ナイッシュウ」
進の賛辞を聞いて、有華はにこりと笑った。多くの男子の心を奪ったであろうその笑顔は、まさしく破壊力抜群だった。
「あたし元バスケ部だもん、小4から中学まで6年間」
「初耳だな。なんで高校はやらなかったんだよ」
「んー、なんか才能なさそうだったからかな?あはは」
くいっ、くいっ、としゃがんだままシュートのポーズをして、有華はおどけて見せた。
「なんだそりゃ」
「あたし小さいし、実は足も遅いんだよ。レギュラーなれたのは6年間やって小6の夏と中3の夏だけ。たった2回」
「ほぉ、そりゃあ、なかなか…」
有華にそんな一面があることには、素直に驚いた。完璧を絵に描いたような人物なだけに、余計に親近感を感じた。
「あっ、今バカにしなかった?」
「してない、してない」

