「判定、どうですか」
「うん、センター試験はウチの生徒の点数を見る限りだと、全体的に難化している。前島の点数なら十分だ。記述模試の実力から二次試験の点数を考えても、6割から7割は大丈夫だろうな。お前は数学が得意だから」
岡田はにこやかに説明した。なんだか気持ち悪いくらいに嬉しそうだ。
「ん、なんだ前島」
「いや、なんか先生嬉しそうだなと思って」
「そりゃそうさ。前島には春からずっと期待してたからな」
「そうなんですか」
「あぁ。2組の担任が決まって、名簿を見たときにはプレッシャーを感じたよ。大崎と、小島と、前島。学年を代表する秀才が3人もいたんだからな」
少し胸が痛んだ。岡田が自分のことをあきらや有華と同列に考えてくれていたなんて、進は全く気付かなかった。こんなにも自分が評価されているのに、秋までの自分の不甲斐なさを思うとどうにも申し訳なかった。
「なんか…すみません」
進は謝ることしか出来なかった。
「何言ってるんだ。結果は出てる。胸を張っていい」
進の肩をポンっと叩いて、岡田が笑いかけた。
その一言で、進は少し救われた気がした。

