スマイリー





自分のプリントを睨んで4度計算したが、無事にと言うかなんと言うか、4度とも同じ点数だった。



点数が下がらなかった安堵感を一通り感じると、唐突に点数が上がらなくて残念という思いが浮上してくるのはなぜだろう。



人間というのは、かくも単純で、現金で、強欲なものだ。



それは、直しようもない人間の本質。



仕方ない。



「そもそも出来過ぎなんだ。偶然とれたと思おう」



自分に言い聞かせるように小声で呟いて、進は気を引き締めた。



よし、と小さく気合いを入れると、視界が少しだけ、明るくなった気がする。







わずかに見えた未来の光にささやかな希望を見いだした進。







そんな進を眺める有華の姿に、進は全く気づかなかった。