スマイリー

「大地のヤツがどこで何してるか知らないけど、謝らなきゃいけないわね。大地の言う通りだった。案の定、西京は落ちるし。心学社を素直に受けてりゃ、あのヒトと付き合うこともなかったしなぁ」



「同じ大学のヒトなんですか?」



大きな衝撃と知ってしまった真実を隠すように、進は無意識に平常心を装って尋ねた。



「そう。3つ上で今4年生の先輩。卒業したら留学するらしくてさ。5年くらいは向こうで仕事しながら暮らすんだって。なんか、急に冷めちゃったのよ。なんでかしらね」



それは、分からなくもないような気がした。



5年も離ればなれでは、いくら愛し合っていても付き合っているとは言えないだろう。



愛があれば距離なんて。時間なんて。そんな言葉は確かに存在するけれど、進に言わせればそんなのはまやかしだ。



長い時間顔を合わせないで愛を育むことなんてできっこない。



「何度も話し合ったけど、意味なんかなかったかもね。あのヒトの留学が揺るがない以上は、遠距離恋愛は避けられないんだもの。話し合いは並行線のまま、結局別れることになっちゃった」



藍は、またベンチに腰をかけた。ただし今度は進の体から、10センチくらい離れて。