スマイリー

少し脇道に入ると途端に人通りは減り、ビルを隔ててさっきまでの喧騒が別世界の出来事のようにひどく遠くに聞こえる。



がらんとした裏道を、ふたりはだらだらと歩いた。話題はさっきまでいたファミレスの延長で、現在のふたりの生活や、部活の話。藍の下宿先がなかなか居心地がいいことだとか、藍の学年の陸上部OBがどんな進路をとったのかだとか、進の成績が上向いてきたことだとか、あきらのことだとか。



「へえ、あのあきらくんにもついに春が来たのね」



藍は歩きながら腕組みして、悪戯っぽくにやついた。進はちょっとした出来心で、あきらと美紅の仲が怪しいことを報告したのだ。



「生徒会で一緒だったんですよね?」



「そう。2年生のときだったかな?あたしと1年のあきらくんが書記。あの子の作る書類はいつも期限ギリギリの上に不備だらけで、毎回あたしが直してあげてたのよ」



「あきら、勉強はできるけど書類とか細かいことは苦手そうだからなぁ」



「ホントにそうよ。いい子だけどね。そんなあきらくんに、女の子かぁ」



あきらは美紅とのことを話してはくれない。時々聞こうとすると、その度に話題をそらされる。だが逆にいえばそれが裏付けになっている。



こっちはあきらに色々世話になっているのだから、進もあきらの恋路を手伝ってやりたいのに。まぁ、すでに付き合っていることも考えられるから、手伝うことなんてないのかもしれないけれど。それならそれで、この親友に報告くらいはしてほしいものだ。