スマイリー

ただ、3年の春までの進の実力から考えればこれは当然の結果で、むしろ今までが悪すぎたと言う方がおそらく正しい。



もともとの基礎が固まっている進だからこそ、この短期間で点数が伸びたとも言える。



「すごいのはこれだ。ⅠA満点。理系顔負けだよ。今日のは難しかったのに、この数学バカめ。まるで2年の時に戻ったようだな。苦手教科なしのオールラウンダー、前島進にさ」



矢継ぎ早に、あきらが称賛の言葉を並べる。



「…そこまで誉められると逆に恥ずかしいな」



「何言ってんだ。素直に誉めてるんだから素直に喜べ」



あきらは半年以上、成績不振に悩まされる進の姿を見てきた。



それだけに、巣立つヒナを見守る親鳥の心境か、感慨深そうな、安堵したような、なんとも慈悲深げな表情で進を見つめた。