図書室の扉の前で深呼吸をする。


“2人に先生の事話そう”


そう決めてここまで戻ってきた。

2人のことは大好きだった。
信頼も出来るし
何より一緒にいて楽しかった。

だけど私はいつも心のどこかで
壁を作っていた。


“これ以上親しくならないように”
“後で傷つかないように”


いつも心のどこかで思っていた。

だから自分のことを話したり
愚痴や弱音を言ったり
悩みを相談したりする事に抵抗があった。


それはきっと2人が大切だったから。

失くしたときに自分がどれ程傷つくか
想像出来た。

だから好きになればなるほど
自分で勝手に壁を作って自分を守っていた。


私は....ずるい。


“雪音さえ、いなければな”
お父さんの声がまた聞こえた。

決心が少し鈍る。

だけど

“お前の周りにいる人は
 浅川が弱い所を見せても
 きちんと受け止めてくれる人だと俺は思うよ”

今度は先生の声がする。


大丈夫。
ちゃんと向き合ってみよう。


私は図書室の扉を開けた。